今後の活動


1) 活動方針(平成28年度)
  1. 生活の自立向上、教育環境・人材育成・医療保健及び農水産業等の改善、技術普及、自然環境保全等の海外支援活動を行う。
  2. 上記の目的で活動する他の諸団体との協力を推進する。
  3. 公的支援および有償業務受託に努める。
  4. 収益事業への取組み、募金推進等を通じ財政基盤の強化を図る。
  5. ワークショップ、講演会、シンポジウムの実施、スタディ・ツアーを実施する。
  6. パンフレット類の改訂・新規作成、ホームページの拡充、広報活動を強化する。
  7. 理事等の役割分担を明確にし、事務局機能を強化する。
2)事業計画
  1. 北部タイ(チェンマイ県・チェンライ県)コーヒー農家支援事業

  2. 北部タイにおける深刻な旱魃で、コーヒー・お茶等の栽培を増やす必要があり、 2016年度は農民の希望で新たに茶の栽培、堆肥作りについての研修等の支援を行う。
    又、引き続き、コーヒー苗木、有機肥料や木酢液などの支給も実施する。
    コーヒーは、今後ますます需要が見込まれ、品質改善と生産量の増大による国際競争力を向上させ、Rungarun Family Coffee の拡販につなげる様に支援して行く。

  3. モンゴル理科教育機材事業
  4. 外務省の日本NGO連携無償資金協力を得てモンゴル国・中等理科教育において理科実験・実習教材の開発と普及を図る。モンゴル国は、長年知識偏重の教育が行われたために、実践的な人材の育成が置き去りになり、教育と産業界の人材ニーズのミスマッチが生じ経済発展の阻害要因ともなっている。理科教育の質を高めるために観察や実験・実証、体験などの実践的な教育が重要であり、そのために必要となる実験器具、教材開発を行う。
    本事業は、3年間の計画で、開発教材を前・後期に分け、21種(品目)を選定。モンゴル国立教育大学(Mongolian National University of Education=MNUE) に2016年初めに設置された「ものづくりセンター」を拠点に理科機材の製作を指導し、自主開発が出来る様に支援する。その後民間企業と協力しながら全国の中等学校768校向けに量産化を図って行く。そのために必要となる専門家を日本から派遣する。

    事業内容の概要は以下の通りである。

    (1)理科教材開発専門家の派遣による開発指導、技術移転
    (2)理科教材設計・試作に必要な資機材の提供
    (3)開発教材の共同製作
    (4)現場理科教員、教職希望の学生対象のワークショップの開催
    (5)現地スタッフの本邦招聘
    (6)試作品の先行配布
    (7)応用分野、利用分野、高度分野の教材開発を開始
    (8)開発教材製作の民間移管による国産化
    (9)全国の中等学校へ普及

  5. 海藻養殖事業を基盤とする零細漁村の女性による自然環境に優しい保健衛生を考慮した新生活スタイル構築プログラム(第1期)
  6. 海洋国家構築を優先課題とするインドネシアでは、従来、漁民は伝統的に冷遇されてきたが、新大統領は漁民の地位向上を目指している。外務省の日本NGO連携無償資金協力得て、「零細漁民のための持続可能な生活向上プログラム(第3期)」を実施し、感染病への対応に成功し養殖事業の継続が可能となった。
    しかし、漁民が置かれている生活環境や保健衛生に関する知識の低さが、深刻な環境問題を引き起こしている。そこで、今年度は、ドンプ県ケンプ郡トロカロ村並びにソロ村の女性グループを組織し、キリンサイ養殖と自然環境・保健衛生に関する意識改革、さらに生活の質的向上を目指す融合プログラムを展開させることとした。12ヶ月サイクルでキリンサイを生産すると共に、漁民の健康維持、促進に繋がるキリンサイの新活用の可能性を探り、付加価値を付けた加工生産と漁民の組織化を目指す。新たな収入源の創出と共に、海洋国家構築に向けた零細漁民への新しい生活スタイルを提示するパイロット・プランとする。

  7. ミャンマー・プロジェクト
  8. 2015年11月の総選挙の結果、国民民主連盟(NLD)が大勝し、歴史的な政権交代が実現した。しかしながら、新政権下でも軍のパワーは保持されており、しばらくは不安定な状況が続くものと予想される。 従って、ミャンマーの社会・経済が安定した状況でも生活環境が急速に改善されることは期待しがたく、アセアン諸国の中でも一人当たり国民所得が最も低い状態が続くものと考えられる。このため我々NGOとして医療保健、教育・人材支援、農村開発、少数民族支援等での貢献が出来ないか、その可能性を探って行くものとする。

    • @ シャン州地域の少数民族の生活向上のための調査
    • 本年1月にスタディ・ツアーを実施した。今回、シャン州復興評議会(RCSS) シャン州軍南及びシャン州開発基金(SSDF)の責任者と懇談を行い、RCSS活動計画の実施サイトの視察及び社会・経済の現状につき情報収集を行った。シャン州では、医療、教育に力点を置いており、国内の停戦交渉の進展に伴い、今まで認められていなかったビルマ語以外のシャン語等を教える学校の設立を進めている事を確認した。中央及び地方政府も含めた受け皿を調査しながら、引き続き本年度も現地の状況を調査・確認しながら支援の方向性を絞り込む計画である。

    • A 零細漁民への支援事業
    • ミャンマーは水産資源に恵まれているにも関わらず、水産業の発展が大きく阻害され、エビ輸出や鮮魚の輸出を除けば、その近代化は非常に遅れている。最貧レベルの零細漁民の生活を改善・向上するには、個々の力を結集しグループに依る協業化(協同組合等)の対策を実施することが必要である。
      現地の漁業に対する具体的な協力案件としては次のようなものが考えられる。


      (1)海藻養殖支援(ア.褐藻類:アワビ、トコブシ等の摂食海藻), (イ.キリンサイ養殖:インドネシアの経験を活かす。)
      (2)マングローブ蟹養殖:ソフトシェルクラブに加工し輸出する。
      (3)水産流通に従事する婦人達の協業化 : マイクロファイナンス活用
      (4)簡易水産加工作業場の建設 : 燻製場、魚塩干場、加工品貯蔵倉庫等

  9. ヨルダン-キング・フセイン国立がんセンター医療支援事業
  10. 国連世界保健機関(WHO)で推進しているUniversal Health Coverage(UHC)のコンセプトを受け、高齢化に伴ってこれからアジアで急激な増加が予想されるがんに対して当法人(All Net)としても対応できるように以下を実施する。

    (1)国際学会への参加を通じてがんの最新情報を得るための学習機会と、その習得内容の社会ならびにAll Netへのフィードバックを行う。社会への還元のひとつはキング・フセイン国立がんセンターへの習得情報提供によって、またAll Netへのフィードバックは勉強会などの形式で会員に対して事務局が調整のうえ行うものとする。 2016年度は韓国ソウルでのアジア太平洋がん会議(APCC)および11月のフランス・パリにおける国際対がん連合会議(UICC)への参加を計画する。

    (2)All Netでがんに係る国際調査をJICA等の援助機関を介して実施できるような組織基盤を構築する。

    (3)2015年度の継続としてヨルダン王国キング・フセイン国立がんセンターを訪問し、当法人に対する先方の要望をヒアリングしたうえで今年度以降の援助内容を確定する。

  11. ホンジュラス・先住民地域への生活向上支援事業
  12. ホンジュラス統合開発機関(OIDH)とALL Netの協力で、同国西部コパン県ラ・エントラダ市の西方12kmにあるサンホン集落の貧困10世帯に対し、生活用水設備を提供するプロジェクトを開始する。用水貯留タンクは約1立方メートルのコンクリート製で、建造労力、セメント等の資材は現地調達する。建造費用は10基で計3万3730レンピラス(約1,483米ドル=17万円)と見積もっている。

  13. バングラデシュ-ダッカ近郊小作農家の生活向上プロジェクト
  14. ダッカ近郊及び農村では、貧困層の深刻な食料不足、教育や医療の遅れ等の問題がある。特に、土地を持たない小作農家が生活基盤のない暮らしを強いられており、そのような小作農家に安定した生活基盤と地域の教育や医療改善を目指す。

  15. 環境・生活改善分野総合調査、案件発掘調査
  16. 以下はいずれもモンゴルにおける調査・観察による事案である。

    (1) 広葉樹導入による森林の生物多様性・生態的価値の飛躍的増大
    モンゴルの低山地帯は結構森林に覆われている。しかし、そこにある高木はほとんどがカラマツの単純林である。これは日本の例でも顕著な通り、生態的には貧弱極まりないもので、快適環境形成、保水、土壌保全、用材確保等、森林のもたらす恩恵・機能としても物足りないものとなっている。当初はウランバートル近郊にモデル地域を選定、北海道、東北の森林植生を参考に、一挙に多種の高木広葉樹を試験的に導入、生物的多様性の実現を図ることを起案したい。未確認の課題は、同国における外来種導入の是非、種子・苗木の通関問題がある。

    (2) 大気汚染対策として新たなエネルギー・システム構築の調査
    途上国では、エネルギー消費(ことに石炭の)増大に伴い、大気汚染が深刻化している。自然エネルギーの利用拡大による汚染対策の必要性が増しているが、首都ウランバートルの冬場の大気汚染は超深刻である。これには、電力需要の拡大による石炭火力発電所の稼働増大と、ゲル街の石炭暖房の相乗がある。電力供給面での対策としては、風力発電、太陽光発電に揚水発電を組み合わせた電力貯蔵・供給システムの構築が、恒久的解決策として有効と思われるが、揚水用ダムの建設適地の探査、冬季氷結対策、建設資金確保等での多面的なフィージビリティ・スタディが必要となる。また、その実現には相当長期間の覚悟がいるのが実態である。

    (3) スラム街住環境改善プロジェクト
    途上国では、農村地域から所得機会を求めての都市移住が顕著となっている。その際に、都市周辺部がスラム集落化し、住民は電気、上下水道などを欠く劣悪な住環境に置かれる事が多い。ALL Net による、これら基礎ライフライン敷設の具体的なプロジェクト発掘は優先度が高いと思われる。

    (4) 食生活・栄養状況改善のための生鮮野菜供給プロジェクト
    寒冷地帯途上国の貧困層は、冬場に生鮮野菜の摂取がほとんど難しい状態に置かれている。これは、それらの人々の健康状態を著しく損なうことに繋がっている。冬場に生鮮野菜の安価・安定供給が実現できる方策を探りたい。

  17. スタディ・ツアーの実施
  18. 実施中の事業やプロジェクト、又は、今後活動を行う可能性の高い地域を視察・体験する会員向けスタディ・ツアーを実施する。

  19. 新たな案件発掘調査
  20. 途上国の貧困削減に貢献し、生活向上を目指すビジネス案件について、各種支援事業やスタディツアー等の実施を通じて発掘を行う。 今後、専門部会を立ち上げ当会員を中心に広く専門家を集めて検討を行う。