中等理科教育の質の向上プロジェクト

― 中等教育における理科教育の質の向上をめざして ―

本プロジェクト発動の背景

 モンゴルでは市場経済化の進展及び経済成長に伴い人口の都市集中化が進み、2000年には人口の57%が首都ウランバートル及びその近郊に集中するという現象が起きました。同時に、地方と都市部との経済格差が広がり貧困層の拡大をももたらす結果となっています。
 このような社会的状況に対しモンゴル政府は、これまでの知識偏重の教育を改め、"Work and Life"(仕事と生活)のための技術と知識を習得する実践的教育を重視することにしました。
 その結果、2005年及び2008年の教育改革を経て、社会的要請に合った教育の質の向上を目指し、初等・中等教育は計12年のシステムに移行しつつあります。しかし、市場経済体制下における実践的教育を経験していない教育関係者にとって、多くの課題を抱える状況となっています。
 これらの課題に対し、国際機関を始めとする多くの国々からプロジェクト支援が寄せられました。中でも、同国教育セクター作業部会のドナー側議長を務める日本からの教育支援は、モンゴルが教育改革を成功裏に進める上で重要な役割を果たしています。特に「教員再訓練計画プロジェクト」、「子供の発達を支援する指導法改善プロジェクト」は、教育制度改革を最も基本的な教育基盤整備から支援するプロジェクトとして注目されています。

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「ものづくり」を通じた理科教育実験手法の紹介

 このような背景の下で、2010年6月、ALL Netでは、モンゴル国立教育大学に対し「ものづくり」を通じた理科教育実験手法を紹介しました。そうしたところ、「ものづくり理科教育講座」の開催を強く要請されました。その要望に答える形で、2010年11月に講座を開催、続いて2011年3月下旬にも開催し、その結果さらに継続した講座の開催を要請されるに至りました。
 モンゴルにおいては、12年制システムへの移行に伴い新カリキュラムに沿った教育内容を整備することが急がれています。
 ALL Netでは、この「ものづくり理科教育講座(理科教育用教材製作)」を通じた教育講座開催や学校現場での授業は、新カリキュラムの普及や他の課題解決へ与える効果も大きく、モンゴルの教育が抱える課題への一つの重要なアプローチになるものと考え、活動を行っています。

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教育現場での実践に活かすために

 ― 教師は、ものづくりプロセスで理科教育の必要性・重要性を捉え、自らの考えや工夫によりものづくりをすることで教育現場での実践に活かすことができ、生徒は、理科への興味と関心を高め、ものづくり理科実験を通じて質の高い理科教育を受けることができる。― ALL Netは、このものづくり手法を理科教育の現場に活かしながら理科教育の質の改善を目指すことを支援していきます。

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