中等理科教育の質の向上プロジェクト 第2期

― 中等教育における理科教育の質の向上をめざして ―

第1期を経て

 ALL Netでは、モンゴル政府の「"Work and Life"(仕事と生活)のための技術と知識を習得する実践的教育を重視する」という方針を支援するため、理科教育における質の向上のためのプロジェクトを開始しました。このプロジェクト第1期では、「ものづくり」を通じた理科教育実験手法を紹介する講座の開催、その基盤となる実施体制の確立を果たました。
 第2期では、講座内容の充実と実施分野の拡張を目指しています。モンゴルでは、理科教育の多くが未だ博物学的なものに留まり、実験を通じた論理的思考を育む教育方法があまり普及してません。これは、実験設備・機材に要する予算に乏しいこともありますが、理科教員自身が実験経験に乏しく、このような指導方法の力量に欠けていることに最大の理由があります。本プロジェクトの活動である「ものづくり理科教育講座」の現職教員への講座開催や、学校現場でのモデル授業の開催は、理科指導法の改善へ与える効果も大きく、モンゴルの教育が抱える課題への一つの重要なアプローチになるものとALL Netでは考えています。

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ALL Netの活動では

 本プロジェクトの実施に当たり、理科教育の専門家を日本から3名派遣します。 そして、具体的な活動内容は、

  1. MSUE及びMSUE教員の研修能力の向上
  2. (Mongolian State University of Education/モンゴル国立教育大学)
  3. 現職教員向け「ものづくり理科教育講座」、中等学校生徒向け「ものづくり理科教育モデル授業」の開催

この2つです。
 「1.MSUE及びMSUE教員の研修能力の向上」では、我々ALL NetとMSUE側スタッフと協同して「ものづくり理科教育講座」を開催します。そうすることで、MSUE側スタッフには、その準備から総括に至るまで全ての運営を学習してもらい、同時に、派遣した日本側講師は、今後適切に講座が実施できるように、必要な事柄を指導します。
 講座開催後には、講座で使用したテキスト、教材、指導の仕方と、モンゴルが目指す実践的教育を重視した理科指導法との関連性を分析し、MSUEの実施する教員研修用プログラムとして導入するための妥当性、有効性などを検討して実際に導入することへの支援を行います。

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 「2.教員向け講座の開催と生徒向けモデル授業の開催」では、 ウランバートル地域の中等学校に在職する現職理科教員を対象とした物理「光学・力学」分野の理科実験講座を開催し、実験指導法や教材製作等についての技術移転を図ります。現職教員研修担当機関であるMSUEの担当教員が講座助手として参加し、教員研修能力の向上を図ります。
 また、プロジェクト第1期の継続活動として、物理「電気・電子」分野の理科実験講座を地方都市:ダルハン、エルデネットで開催し、実験指導法や教材製作等についての技術移転を図ります。こちらではMSUEの担当教員が講師として参加し教員研修能力の向上を図ります。
 本プロジェクトでは、講座で使用する実験機材等をできるだけ身近にあるものや現地調達可能なものとしていますが、現時点では良質な製品の入手が困難なものもあります。その場合には、日本から調達し、使用します。本プロジェクトが引き継がれた後には、モンゴル側で適切な資機材を選定・調達できるように、講座の実施を通じて現地調達が可能な材料や素材の発見・発掘、開発の方法及びその評価の仕方などについても指導していきます。

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